甘さはどこまでがちょうどいい?チョコプリン1,208人の研究では、好きな砂糖の量は3つの型に分かれた

チョコの砂糖の量は、多すぎるとくどく、少なすぎると苦い。配合を決めるとき、ちょうどいい量はあるのでしょうか。食品の世界では、一番おいしく感じる甘さを英語で bliss point(至福点)と呼ぶことがあります。チョコプリンで1,208人を調べた研究では、その点は1つではなく、人によって3つの型に分かれました。砂糖の配合と試食の組み方を決める人に向けて整理します。
結論
- イタリアの1,208人がチョコプリンを砂糖4段階で食べた研究では、甘いほど好きになる人が約39%、途中で好きが頭打ちになる人が約41%、甘すぎると好きが下がる人が約21%だった。
- 型の違う人どうしで最も評価がそろったのは、プリン1kgあたり砂糖119gだった。板チョコの研究では、理想の砂糖はダークで47.5%、ミルクで43%と報告されている。
- これらはプリンや特定の配合での結果で、ふだんの板チョコで「この量が至福点」と決めた研究は見つからなかった。狙う買い手の型に砂糖を合わせることは、もう一度食べたい・また買いたいに近づく手がかりになりうる。
01 どんな研究か一番おいしい甘さは、人によって違う?
違います。フィレンツェ大学などの研究チームは、イタリアの1,208人に砂糖の量だけを4段階に変えたチョコプリンを食べてもらい、甘さと好きの関係から、人を3つの型に分けました。
Spinelli S ほか / フィレンツェ大学など9機関(2021)[1]
チョコプリンの砂糖を1kgあたり38g・83g・119g・233gの4段階にし、好き嫌いと甘さ・苦さ・渋さの強さを別の日に評価してもらった。好きの変わり方で人を分けると、甘いほど好き、途中で頭打ち、甘すぎると下がる、の3つの型が出た。
対象: 18〜69歳のイタリアの成人1,208人(8都市)。市販のチョコプリンの素と無糖ココアで作ったプリン / 限界: 板チョコではなくプリン。型の分かれ方は、試した砂糖の範囲によって変わりうると著者自身が書いている。イタリアの公的研究費(教育大学研究省)による研究。
研究チームは、1人ずつ「甘さが増えると好きがどう変わるか」を計算し、似た人どうしをまとめました[1]。甘さのほかに、苦さや渋さも人によって感じ方が違います。砂糖を足すと苦みが隠れる一方で、甘さそのものの好みも人で違う。この2つが重なるので、平均の「ちょうどいい」は、実際には別々の好みの合計だと著者らは説明しています。
同じ4段階のプリンを28人で調べた別の研究では、砂糖が増えるほど苦さの評価が下がりました[2]。好きの評価は砂糖が一番少ない38gで低く、233gは83gより高くなりました。28人の平均だけを見ると「甘いほどよい」に見えます。1,208人の研究は、その平均の中に違う型の人が混ざっていることを示しました。
02 わかった数字甘さの好みは、どんな割合で分かれた?
チョコプリンの研究では、甘いほど好きが約39%、頭打ちが約41%、甘すぎると下がるが約21%でした。型の違う人どうしで最も評価がそろったのは、1kgあたり砂糖119gでした。
甘すぎると好きが下がる型の人は、別に聞いたアンケートで、ダークチョコの好き度が9段階で7.92と、ほかの型(7.16と6.83)より高くなりました[1]。砂糖なしのコーヒーや、苦い野菜も好む傾向がありました。甘さの好みは、苦さをどこまで楽しめるかとつながっているようです。
板チョコそのものでも、型に近い分かれ方が報告されています。2026年の研究では、105人がホワイト2種・ミルク1種・ダーク3種を食べました[3]。好きの点数で分けると、甘いチョコ好きが59%、ダーク好きが28%、とても濃いダーク好きが13%でした。90%のダークは、悪い気分の言葉と結びつきました。
| 研究 | 食べたもの | ちょうどいい砂糖の量 |
|---|---|---|
| Spinelli ら 2021 [1] | チョコプリン | 型どうしで最もそろったのは119g/kg(約12%) |
| Azevedo ら 2016 [4] | ダーク系チョコ5種 | 47.5%(重さの割合) |
| de Melo ら 2007 [5] | ミルクチョコ5種(砂糖40〜52%) | 43% |
「ちょうどいい」の決め方は研究ごとに違う。食べ物の形(プリンか板か)が違うと、数字は比べられない。
ブラジルの2つの研究(1つはカンピーナス大学)は、板チョコの砂糖を5段階に変えて、一番いい量を探しました[4][5]。どちらも、砂糖を甘味料に置きかえる研究の最初の段階として行われたものです。数字は特定の配合での結果で、カカオ分や乳の量が変われば、ちょうどいい量も変わると考えられます。
水に砂糖を溶かした液でも、同じ3つの型が出ます。サセックス大学などの研究では、148人が8段階の砂糖水を味わい、甘いほど好き・途中で最大・甘いほど嫌い、の3型に分かれました[6]。プリンの研究チームは、83g/kgという量が、これまでの研究で最も好まれた濃さとおおむね合うと述べています[1]。
03 開発への使い方砂糖の量は、試作でどう決める?
砂糖だけを段階的に変えた試作を並べ、平均点でなく、人ごとの好きの変わり方で見ることです。平均だけを見ると、違う型の人が混ざった結果を「みんなの好み」と読み違えます。
配合・工程: 砂糖だけを4段階以上に振る
プリンの研究は砂糖を38〜233g/kgの4段階に振りました[1]。板チョコの研究は砂糖を5段階に変えています[4][5]。カカオ分や乳の量を固定し、砂糖だけを変えます。砂糖を減らすと固形分の割合や粘りも変わるので、粒の細かさと口どけも合わせて測ります(なめらかさは粒の大きさで決まる?)。カカオ分と苦さの関係はカカオ分が高いほど苦い?へ。
目安 砂糖4〜5段階。ほかの配合と工程は固定
評価: 好きと甘さ・苦さを分け、人ごとに型を見る
Spinelli らのように、好きの評価と、甘さ・苦さ・渋さの強さの評価を別の回に行います[1]。そのうえで1人ずつ「甘さが増えると好きがどう変わるか」を見て、型に分けます。28人の平均では「甘いほどよい」に見えた結果も[2]、1,208人を型で分けると3つに割れました[1]。パネルが少ないと型の割合は読めないので、型の割合を見たいなら人数を多めに取ります。
目安 試料は記号で、順番を人ごとに変えて出す
品質管理・表示: 狙う型を決め、甘さの基準品を持つ
1つの製品ですべての型に最高点を取るのは難しいので、どの型を狙う製品かを決めます。甘すぎると好きが下がる型の人は、ダークチョコの好き度が高い傾向でした[1]。量産では砂糖の量のぶれが甘さを動かすので、甘さの基準品を決め、ロットごとに比べます。
目安 基準品との甘さの比較をロットごと
研究の条件は、イタリアの成人1,208人とチョコプリン、ブラジルの特定の配合の板チョコです。自社の配合や買い手とは違うので、数字はそのまま使わず、自社の試作で砂糖を振り直します。甘さを狙う買い手の型に合わせることは、究極のチョコの3つの条件のうち、「もう一度食べたくなる」と「もう一度買いたくなる」に近づく手がかりになりえます。食べ続けて飽きる仕組みはもう一度食べたくなるチョコは何が違う?、また買いたいと思う理由はもう一度買いたくなるチョコは何で決まる?で読めます。
04 まだわからないこと板チョコの至福点は、わかっている?
わかっていません。型の研究の多くはプリンや砂糖水で、ふだんの板チョコで多くの人の型を調べ、型ごとの一番いい砂糖の量を出した研究は、今回の調べでは見つかりませんでした。
- 3つの型の割合は、イタリアの成人とチョコプリンでの結果です。日本の人や板チョコで同じ割合になるかはわかりません。
- 板チョコの理想の砂糖(47.5%・43%)は、特定の配合で少数の試食から出た数字です。試食した人数は要旨で確かめられませんでした。
- 一口目の「ちょうどいい」と、何個も食べたあとの「ちょうどいい」が同じかは、調べられていません。甘さの後味については後味の苦みや渋みは「また食べたい」を左右する?で整理しています。
- 甘さの好みが年齢や食べ慣れで変わるかは、この記事の研究からは言えません。
05よくある質問
チョコの甘さに、みんなが一番おいしいと感じる量はある?
チョコプリンで1,208人を調べた研究では、一番好きな甘さは1つに決まらず、甘いほど好き・途中で頭打ち・甘すぎると嫌、の3型に分かれました。型の違う人どうしで最も評価がそろったのは、1kgあたり砂糖119gでした。
ダークチョコが好きな人は、甘さが苦手?
同じ研究では、甘すぎると好きが下がる型の人は、ダークチョコの好き度が9段階で7.92と、ほかの型より高い結果でした。ただし、これはアンケートで聞いた好みで、試食した板チョコの結果ではありません。
板チョコの砂糖は何%くらいがちょうどいい?
ブラジルの研究では、ダーク系チョコで47.5%、ミルクチョコで43%が「ちょうどいい」とされました。特定の配合での結果で、カカオ分や乳の量が変われば変わると考えられます。
出典
- Spinelli S, Prescott J, Pierguidi L, ほか 2021. Phenol-Rich Food Acceptability: The Influence of Variations in Sweetness Optima and Sensory-Liking Patterns. Nutrients, 13(3), 866.
- Martinez-Levy AC, Moneta E, Rossi D, ほか 2021. Taste Responses to Chocolate Pudding with Different Sucrose Concentrations through Physiological and Explicit Self-Reported Measures. Foods, 10(7), 1527.
- Thibodeau M, Ford RA, Hasted AM, Barrett K, Chan HC, Yang Q 2026. Influence of sweetness, bitterness and Sweet Liking Status on liking and emotional response to chocolate. International Journal of Gastronomy and Food Science, 44, 101515.
- Azevedo BM, Ferreira JM, Luccas V, Bolini HM 2016. The Influence of the Rebaudioside A Content of Stevia on the Determination of Sweetness Equivalence in Bittersweet Chocolates, Using the Time-Intensity Analysis. Journal of Food Science, 81, S3006–S3014.
- de Melo LLMM, Bolini HMA, Efraim P 2007. Equisweet milk chocolates with intense sweeteners using time-intensity method. Journal of Food Quality, 30, 1056–1067.
- Iatridi V, Hayes JE, Yeomans MR 2019. Quantifying Sweet Taste Liker Phenotypes: Time for Some Consistency in the Classification Criteria. Nutrients, 11(1), 129.


