香りと味

塩やナッツを足すと飽きにくくなる?45人の試食では塩4%のチョコが最も好まれず、飽きにくさは未検証

約8分で読めます / 主役の研究: Gunaratne ら 2019(メルボルン大学)

研究の確かさ ★☆☆ 低い論文5本を照合
ダークチョコでおおったマカダミアナッツ
Photo: Syced / CC0 / Wikimedia Commons
AIによる調査公開された論文と公的機関の資料をAIが開いて読み、数字を照合して整理しました(商品の紹介はしていません。出典は末尾)。

塩チョコやナッツ入りのチョコは、つい次の1個に手がのびる、と言われます。しかし、チョコに塩やナッツを足すと飽きにくくなるかを、チョコで直接確かめた研究は見つかりませんでした。塩やナッツを配合に入れるか、どれだけ入れるかを決める人に向けて、チョコに塩を混ぜた試食実験と、塩と苦み、味の変化と食べ飽きの研究から、わかることとわからないことを分けます。

結論

  1. メルボルン大学で45人が、塩・酸味・砂糖・うま味を足したチョコと市販のダークを食べると、塩4%のチョコが最も好まれなかった。多すぎる塩は、チョコをおいしくしない。
  2. 塩(ナトリウム)が苦みを抑えることは、水に溶かした液の研究で示されている。味を変えて出すと食べる量が15%増えた研究もあるが、対象はサンドイッチだった。
  3. 塩やナッツで飽きにくくなるかは、チョコでは調べられていない。食感の変化がおいしさを生むという説は、提案の段階にとどまる。

01 どんな研究かチョコに塩を混ぜると、好まれる?

たくさん混ぜると好まれませんでした。メルボルン大学の研究チームは、45人にチョコに4つの味をそれぞれ足したものと市販のダークを食べてもらい、塩4%のチョコが5種類で最も好まれないことを示しました。

Gunaratne TM ほか / メルボルン大学(2019)[1]

溶かしたミルク系のコンパウンドチョコ(製菓用の加工チョコ)に、塩・クエン酸・砂糖・うま味調味料をそれぞれ混ぜて固めた。苦い見本として市販のカカオ分70%のダークも加えた。5種類を食べてもらい、好き嫌い、味の強さ、気分、表情・心拍・皮膚の温度を記録した。

対象: メルボルン大学の職員と学生45人(18〜55歳) / 限界: 塩の量は4%と多い(2%・4%・6%から専門家5人が選んだ)。塩のチョコはミルク系、苦い見本は別の市販品で、ベースが違う。オーストラリア研究会議の研究費による。

塩の量は、2%・4%・6%の3つを作り、大学の官能評価の専門家5人が、味の強さを見ながら一番好ましいものとして4%を選びました[1]。100gのチョコに4gの塩です。ふだんの塩チョコより、かなり塩辛い量と考えられます。

結果は、好きの点数(本文の値)で砂糖を足したものが8.83と最も高く、酸味7.11、うま味5.34、塩3.71の順でした[1]。表情の解析では、塩のチョコは「悲しい」と結びつきました。心拍と皮膚の温度には、5種類で差が出ませんでした。この研究は「どの量の塩なら好まれるか」を調べたものではありません。

02 わかった数字塩と「飽き」について、どんな数字がある?

チョコでわかっているのは、塩4%では最も好まれなかったことです。塩が苦みを抑える、味を変えると食べる量が増える、という数字は、溶液やサンドイッチなど別のもので得られています。

3.71塩4%のチョコの好きの点数。5種類で最も低い(砂糖は8.83)。45人、メルボルン大学 [1]
15%味だけを変えたサンドイッチを3回続けて出すと、一番好きな味だけのときより食べた量が増えた割合 [2]
14%形だけを変えたパスタを3回続けて出したときの、食べる量の増え方 [2]
92人別の食べ物を見せるだけでは、食べ飽きは防げなかった研究の人数(大学生)[5]
話研究で使ったものわかったこと
塩とチョコの好みチョコ(塩4%)[1]5種類で最も好まれなかった
塩と苦み水に溶かした苦い物質と塩 [3]多くの苦みが、ナトリウムで抑えられた
見た目と飽き色だけ違うチョコ菓子 [2]食べた色だけ、味の好ましさが下がった
味の変化と食べる量サンドイッチ・パスタ [2]味や形を変えると食べる量が14〜15%増えた
食感の変化実験なし(説の提案)[4]口の中で変わる感覚が、おいしさを高めると提案

チョコに塩やナッツを足して、食べ飽きや食べる量を測った研究は、今回の調べでは見つからなかった。

塩と苦み アメリカのモネル化学感覚研究所の研究では、苦い物質と塩を水に溶かして混ぜ、苦さと塩辛さを評価しました[3]。多くの場合、塩で苦みが弱まりましたが、弱まり方は苦い物質によって違いました。尿素の苦みでは、塩辛さの強さではなくナトリウムが効いていました。チョコの苦み成分で同じことが起きるかは、この研究ではわかりません。

食べ飽き Rolls らは、色だけが違うチョコ菓子を食べてもらいました[2]。食べた色の味の好ましさは、食べていない色より大きく下がりました。中身は同じでも、です。ただし、色を何種類か並べても、食べる量は一番好きな色だけのときと変わりませんでした。量が増えたのは、塩味・レモン味・カレー味のように「味」を変えたサンドイッチ(15%)と、形を変えたパスタ(14%)でした。

食感の変化 サンノゼ州立大学の Hyde と Witherly は、口の中で刻々と変わる感覚の差(動的コントラスト)が大きい食べ物ほどおいしい、という説を出しました[4]。一番効くのは食感だろうとしています。ナッツやクッキーを入れたチョコはこの説に当てはまりそうですが、実験で確かめた論文ではありません。

03 開発への使い方塩やナッツの配合は、試作でどう決める?

塩は4%よりずっと少ない量から段階的に振り、ナッツは入れた板と入れない板を同じベースで比べることです。飽きにくさは、1かけ目の好き度でなく、続けて食べたときの下がり方で見ます。

1

配合・工程: 同じベースで、塩の量だけを振る

メルボルン大学の研究では、塩4%のチョコが最も好まれませんでした[1]。ただし塩のチョコはミルク系のコンパウンド、苦い見本は別の市販品で、ベースが違いました。自社の試作では、同じベースに塩なしと、4%よりずっと少ない数段階を作ります。ナッツや焼き菓子を入れる場合も、ベースと温度をそろえて、入れる・入れないの2条件で比べます。

目安 塩3〜4段階、ナッツは入れる・入れないの2条件

2

評価: 1かけ目の好き度と、続けて食べたときの下がり方を分ける

好き度と、甘さ・苦さ・塩辛さの強さを別々に付けてもらいます。飽きにくさを見るなら、1種類だけを続ける回と、塩入りと塩なしを交互にする回で、1かけ目と最後のかけらの評価の差を比べます。味を変えると食べる量が増えたのはサンドイッチの研究で[2]、チョコで確かめた結果ではありません。食べ飽きの測り方はもう一度食べたくなるチョコは何が違う?にまとめています。

目安 1回5かけまで、条件ごとに別の日

3

品質管理・表示: 塩とナッツの量と表示を合わせる

塩は少しの量の違いで評価が動くので、計量と混ぜむらの管理を決めます。栄養成分表示の値も配合に合わせて見直します。ナッツはアレルゲン表示の対象になるものがあるため、表示と、ほかの製品のラインへの混入の管理を決めます。具体的な表示の決まりは、この記事では確かめていません。

目安 塩の計量はロットごとに記録

研究の条件は、大学の職員と学生45人、塩4%という多い量、ベースの違う比較です。自社の配合や買い手とは違うので、量の目安には使えず、自社の試作で振り直します。塩で苦みがやわらぐなら、砂糖を増やさずに苦みの少ない配合にできる可能性がありますが、根拠は水に溶かした液の研究です[3]。甘さの好みは甘さはどこまでがちょうどいい?で読めます。飽きにくさは、究極のチョコの条件「食べたあとにもう一度食べたくなる」に直接かかわる話ですが、チョコでの答えはまだありません。

04 まだわからないこと塩チョコは本当に飽きにくい?

わかっていません。チョコに塩やナッツを足したとき、食べ飽きの速さや食べる量が変わるかを調べた研究は、今回の調べでは見つかりませんでした。

  • チョコの塩の研究は、塩4%の1つの量だけです。少しの塩で好きが上がるかは調べられていません。
  • 塩が苦みを抑える研究は水溶液で行われました。カカオの苦み成分や、脂の多いチョコの中で同じように効くかはわかりません。後味の苦みについては後味の苦みや渋みは「また食べたい」を左右する?で整理しています。
  • 色だけ違うチョコ菓子の研究は1982年のもので、人数などは要旨で確かめられませんでした。
  • 食感の変化がおいしさを高めるという説は、実験で確かめた形では見つかりませんでした。
  • 飽きにくいことが「また買いたい」につながるかは、どの研究も調べていません。

テンパリング温度ガイド研究一覧を見る

05よくある質問

チョコに塩を入れると好き度は上がる?

研究でわかっているのは一部だけです。メルボルン大学で45人が食べた研究では、塩を4%混ぜたチョコが5種類で最も好まれませんでした。少量の塩で好き度が上がるかは、チョコでは調べられていないので、少ない量から試作で確かめます。

塩を入れると苦みは抑えられる?

水に溶かした液の研究では、塩(ナトリウム)が多くの苦みを抑えることが示されています。ただし抑え方は苦い物質によって違い、チョコの苦み成分で同じことが起きるかを確かめた研究は見つかりませんでした。

ナッツ入りのチョコは飽きにくい?

チョコで確かめた研究は見つかりませんでした。口の中で食感が変わる食べ物ほどおいしいという説はありますが、提案の段階です。味だけを変えたサンドイッチを続けて出すと食べる量が15%増えた研究はあります。