香りと味

コーヒーやワインと合わせるとチョコはうまくなる?80人の試食では、どちらかの味が勝つと好まれにくかった

約7分で読めます / 主役の研究: Donadini・Fumi 2014(サクロ・クオーレ・カトリック大学)

研究の確かさ ★★☆ 中論文3本を照合
チョコケーキとスパークリングワイン
Photo: JIP / CC BY-SA 4.0 / Wikimedia Commons
AIによる調査公開された論文と公的機関の資料をAIが開いて読み、数字を照合して整理しました(商品の紹介はしていません。出典は末尾)。

チョコにはコーヒーが合う、赤ワインが合う、とよく言われます。飲み物と合わせる前提の商品を考えるとき、合わせると本当に評価が上がるのでしょうか。イタリアの80人の試食では、コーヒーのほうがお茶より好まれ、チョコと飲み物のどちらかの味が勝ちすぎると好まれにくくなりました。合うかどうかは「何と何か」より、両方の味の釣り合いで決まっていました。

結論

  1. イタリアの大学の試食で、チョコをよく食べる80人が3種類のチョコ(カカオ分30・70・99%)とコーヒー3種・お茶4種を組み合わせると、コーヒーのほうがお茶より好まれた。99%のチョコとの組み合わせは好まれにくかった。
  2. チョコと飲み物の味が釣り合った組み合わせが好まれ、どちらかの味が勝つと好まれにくくなった。チョコの味が勝ったときのほうが、下がり方が大きかった。
  3. ルーマニアの50人の評価では、カカオ70%のダークチョコは多くのスパークリングワインと合い、95%は多くのワインと合いにくかった。日本の人や、合わせると「また食べたくなる」かは調べられていない。

01 どんな研究かチョコに合うのは、コーヒーとお茶のどっち?

イタリアのサクロ・クオーレ・カトリック大学のDonadiniとFumiは、80人にチョコと飲み物を組み合わせて食べてもらい、好みとどちらの味が勝ったかを答えてもらいました。コーヒーのほうがお茶より合うと評価されました。

Donadini G, Fumi MD / サクロ・クオーレ・カトリック大学(イタリア)(2014)[1]

コーヒー3種(チョコ風味・バニラ風味・風味なし)、お茶4種(紅茶・緑茶・バニラ風味・柑橘風味)、チョコ3種(カカオ分30・70・99%)を、まず単独で、次に組み合わせて評価してもらった。組み合わせの好みは、飲み物単独の好み、チョコ単独の好み、飲み物とチョコの種類、そして味の釣り合いで変わった。両方の味が釣り合ったときに最も好まれ、どちらかが勝つと好まれにくくなった。

対象: チョコをよく食べるイタリアの消費者80人 / 限界: 1か国の消費者で、チョコと飲み物の種類も限られる。要旨で照合。

著者らは、「好きなチョコと好きなコーヒーを合わせれば、いちばんおいしい」とはならないと書いています[1]。人は、単独での好みだけでなく、どの味とどの味が合うかを考えて組み合わせを評価していました。

同じ研究者は、その前の2012年に、18種類の飲み物で同じ形の試食をしています[2]。このときも80人で、チョコは30・70・99%の3種類でした。チョコに幅広く合ったのは、バルサミコ酢、リキュールワイン(酒精強化ワイン)、コーヒー、ポートワインでした。組み合わせの好みは、チョコの好みより飲み物の好みに強く左右されていました。チョコの味が勝つと好まれにくくなり、飲み物の味が勝ったときは、上がることも下がることもありました。

02 わかった数字ワインと合わせると、どれくらい合う?

ルーマニアの研究では、50人の評価者が、合い方を0〜10点で付けました。カカオ70%のダークチョコと甘口のロゼのスパークリングワインが8.33点で、95%のチョコは多くのワインと合いにくい評価でした。

80人チョコとコーヒー・お茶の組み合わせを試食したイタリアの消費者
8.33点カカオ70%のダークと甘口のロゼのスパークリングの合い方(0〜10点、50人の平均)
14×5ルーマニアの研究で組み合わせたスパークリングワイン14種とチョコ5種
0.6〜48.2g/L使ったスパークリングワインの糖の量の幅(辛口から甘口まで)
チョコ最も合うと評価されたワイン点数(0〜10)
ホワイト白ブドウの半辛口(demi-dry)7.22
ルビー黒ブドウの半辛口(demi-dry)8.22
ダーク(カカオ70%)黒ブドウの甘口のロゼ8.33
ダーク(カカオ95%)多くのワインと合いにくかったー

Luchianら(2023)、評価者50人の平均[3]。ワインは1つの生産者のもの。点数は研究の中の比べ合いで、ほかの研究と比べられない。

ルーマニアのヤシ生命科学大学のLuchianらは、ワインの試飲に慣れた50人(男性28人・女性22人、22〜65歳)に、まずチョコとワインを別々に評価してもらい、次に組み合わせの合い方を点数にしてもらいました[3]。チョコは20〜21℃、ワインは約8℃で出しました。カカオの多いチョコほど、苦み・渋み・ざらつきの点が高くなりました。著者らは、95%のチョコが合いにくかった理由として、合わせるとワインの苦みと渋みが強く感じられたことを挙げています。ワインの甘さ・酸味・アルコールの強さが、合い方を左右していました。

03 開発への使い方飲み物と合わせる商品は、どう試作し評価する?

合うかどうかは、単独の好みより、両方の味の釣り合いで決まっていました。飲み物と合わせる前提の商品は、合わせる相手を決めてからチョコの配合を1つずつ変え、好みと「どちらの味が勝ったか」を一緒に測ります。

1

合わせる飲み物を固定して、カカオ分か甘さを1つだけ変える

研究では、カカオ分99%(ワインの研究では95%)との組み合わせが好まれにくくなりました。チョコの味が勝つと好まれにくくなったので、チョコ単独でいちばん好まれた配合が、組み合わせでもいちばんとは限りません。

目安 飲み物1種に、配合を1段ずつ変えた試作2〜3種

2

単独の評価と組み合わせの評価を分け、「どちらが勝ったか」も聞く

研究と同じく、チョコと飲み物をまず別々に評価し、次に組み合わせて、好みと「チョコが勝った・飲み物が勝った・釣り合った」を答えてもらいます。ワインの研究ではチョコを20〜21℃、ワインを約8℃で出していました。温度と、先に飲むか食べるかの順番はそろえます。

目安 単独と組み合わせで2段階。順番は全員そろえる

3

「〇〇に合う」と書くのは、その組み合わせで評価してから

合い方は、飲み物の甘さ・酸味・アルコールの強さで変わりました。合う相手を商品の説明に書くときは、その組み合わせの評価を自社で取ってからにし、「ワインに合う」のように相手を広く書きすぎないようにします。お酒と合わせる提案は20歳以上向けであることを添えます。

目安 説明に書く飲み物ごとに組み合わせの評価を1回

研究はイタリアの消費者80人と、ワインの試飲に慣れたルーマニアの50人が、限られたチョコと飲み物を評価したもので、自社の製品・合わせる飲み物・買い手とは条件が違います。組み合わせの研究は「もう一度食べたくなる」チョコに近づく手がかりの1つですが、そこまでは測られていません。チョコ単独の苦みや甘さはカカオ分が高いほど苦い?と後味の苦みや渋みは「また食べたい」を左右する?で扱っています。

04 まだわからないこと組み合わせの研究で、足りないことは?

調べられたのはイタリアとルーマニアの人と、限られたチョコと飲み物だけです。合わせると「また食べたい」が上がるかは、まだ調べられていません。

  • 日本の人で、チョコとコーヒー・お茶・ワインの組み合わせを試食した研究は見つかりませんでした。
  • 合わせたときにおいしいと感じても、それで「もう一度食べたい」「また買いたい」が上がるかは調べられていません。
  • 先に飲むか先に食べるか、口の中で一緒にするかで結果が変わるかは、2012年の研究でも今後の課題とされています。
  • ワインの研究は1つの生産者のスパークリングワインだけで、赤ワインなどほかのワインに当てはまるかはわかりません。

テンパリング温度ガイド研究一覧を見る

05よくある質問

チョコに合う飲み物はコーヒーとお茶のどっち?

イタリアの80人の試食では、コーヒーのほうがお茶より好まれました。ただし、どの組み合わせでもよいわけではなく、チョコと飲み物の味が釣り合ったときに最も好まれました。

高カカオのチョコはコーヒーに合わない?

研究では、カカオ分99%のチョコとの組み合わせは、30%や70%より好まれませんでした。ワインの研究でも、95%のチョコは多くのワインと合いにくい評価でした。合わせるとワインの苦みや渋みが強く感じられたことが、理由に挙げられています。

チョコとワインは本当に合うの?

ルーマニアの研究では、カカオ70%のダークチョコが多くのスパークリングワインと合い、甘口のロゼとの組み合わせが0〜10点で8.33点でした。ワインの甘さ・酸味・アルコールの強さで合い方が変わりました。1つの生産者のワインだけの結果です。

チョコの味が負けてしまうのはどんなとき?

2012年の研究では、飲み物の味が勝ったときは好みが上がることも下がることもありました。一方、チョコの味が勝つと好まれにくくなりました。合わせるときは、チョコだけが目立たない組み合わせを探すのが手がかりです。