香りと味

砂糖を減らしたチョコはまた食べたくなる?116人の試食で好き度の平均は同じ、45%は元を選んだ

約7分で読めます / 主役の研究: Markey ら 2015(レディング大学)

研究の確かさ ★☆☆ 低論文3本を照合
箱に並んだ一粒チョコ
Photo: Syced / CC0 / Wikimedia Commons
AIによる調査公開された論文と公的機関の資料をAIが開いて読み、数字を照合して整理しました(商品の紹介はしていません。出典は末尾)。

甘さ控えめや砂糖不使用のチョコは、一度は手に取られても、次は元のチョコに戻られることがある、と言われます。砂糖を減らしたり、代わりの甘味料に替えたりしたチョコは、また食べたい・また買いたいと思われるのでしょうか。砂糖を減らす配合と、その評価の組み方を決める人に向けて、銘柄を伏せて食べ比べた研究から読みます。どの甘さが好まれるかの研究は甘さはどこまでがちょうどいい?で扱っています。

結論

  1. 英国の116人が銘柄を伏せて食べ比べると、加えた砂糖を糖アルコールに替えたミルクチョコは、味・食感・見た目の好き度が元のチョコより低かった。ただ、全体の好き度と「買いたい気持ち」には、はっきりした差がなかった。
  2. 好き度の分かれ方を調べると、45%の人は元のチョコをはっきり好み、28%の人はどれも区別しなかった。訓練された評価者は、替えたチョコを甘さと後味が弱く、ひんやりすると評価した。
  3. 「砂糖不使用」の表示は、健康そうに見せる一方で、おいしくなさそう・甘くなさそうに見せ、払ってもよい金額の差は打ち消し合った。砂糖を減らしたチョコを、何度も買い続けるかを追った研究は見つからなかった。

01 どんな研究か砂糖を替えたチョコは、食べてわかる?

多くの人にはわかりました。英国レディング大学の Markey らは、店で売られている「ふつう」と「砂糖を減らした」食品5組を、銘柄を伏せて116人に食べ比べてもらいました。その1組がミルクチョコで、砂糖を糖アルコール(マルチトール)に替えたものでした。

Markey O, Lovegrove JA, Methven L / レディング大学 食品栄養学科(2015)[1]

ベイクドビーンズ・いちごジャム・ミルクチョコ・コーラ・ジュースの5組を、包みを外して番号だけを付けて出した。チョコは21℃にそろえた。全体・見た目・味・食感の好き度を9段階で付け、買いたいか、いつもの品から替えたいかも聞いた。別に、訓練された10人の評価者が、味や食感の特徴を細かく点数にした。

対象: 健康な消費者116人(男性55人・女性61人、平均33歳) / 限界: 2つのチョコは別の会社の製品で、砂糖以外の作り方や材料も違う。1回の試食での評価。著者の1人は英国政府の栄養の諮問委員会の委員。

替えたチョコは、牛乳由来でない砂糖が100gあたり44.0gから0gになっていました[1]。ジャムやビーンズは砂糖を3割ほど減らしただけでしたが、チョコは加えた砂糖をすべて糖アルコールに置きかえた、5組の中で一番大きな変更でした。

訓練された評価者は、替えたチョコと元のチョコの違いを、41項目のうち7項目で見つけました[1]。替えたほうは甘さとその後味が弱く、糖アルコールに特有の「ひんやり感」がありました。

02 わかった数字好き度と買いたい気持ちは、どれだけ違った?

味・食感・見た目の好き度は元のチョコが上でしたが、全体の好き度と買いたい気持ちには、はっきりした差がありませんでした。はっきり差が出たのは、5組のうちビーンズとコーラだけでした。

44.0g→0gチョコ100gあたりの、牛乳由来でない砂糖の量(糖アルコールに置きかえ)[1]
41項目中7項目評価者が見分けた違い。甘さと後味が弱く、ひんやり感があった[1]
45%元の品をはっきり好んだ人の割合。チョコでも元のほうを好んだ(116人を好みで3つに分けた最大の組)[1]
約40%砂糖を減らした食事を3か月続けた人が、プリンを甘く評価した差。おいしさの評価は変わらなかった(Wise ら)[3]

好みで分けると 116人の好き度を、似た人どうしでまとめると3つの組に分かれました[1]。一番大きな組(45%)は、ジャム以外の4組すべてで元の品を好み、チョコでも元のほうが好まれました。28%の人はどの組も区別せず、27%の人はビーンズとジャムだけを区別しました。全体の好き度に差が出なかったのは、気にしない人と気にする人が混ざっていたためと読めます。

「砂糖不使用」の表示の効き方 ロシアの国立研究大学高等経済学院の Panidi らは、50人に、砂糖入りの品と、よく似た砂糖不使用の品の写真を60品見せ、本当に買うつもりで値を付けてもらいました[2]。「砂糖不使用」の印があると、健康そうに見えて付け値は上がりました。しかし同時に、おいしくなさそう・甘くなさそうに見えて付け値は下がり、合わせると差はなくなりました。食べてはいない、写真だけの実験です。

慣れると甘さの感じ方は変わる 米国モネル化学感覚センターの Wise らは、16人に3か月、食事の単純な糖からのエネルギーの40%をほかの栄養に置きかえてもらいました[3]。3か月目には、同じプリンを、ふつうの食事の組より約40%甘く評価しました。ただし、おいしさの評価は変わりませんでした。甘さの感じ方は慣れで変わっても、好みまで変わるかはわかっていません。

03 開発への使い方砂糖を減らした試作は、どう作ってどう評価する?

砂糖の量か甘味料の種類のどちらか1つだけを変え、表示を伏せて、元の配合と比べることです。全体の平均だけでなく、はっきり元を好む人の組がどれだけいるかを見ます。

1

配合・工程: 同じベースで、砂糖だけを段階的に置きかえる

主役の研究は、別の会社の製品どうしの比較で、砂糖以外の作り方や材料も違っていました[1]。自社の試作では、同じベースで砂糖を一度に全部替えず、減らす割合を段階的に振ります。糖アルコールに替えたチョコには、甘さと後味の弱さ、ひんやり感という違いが出ました[1]。甘味料を替えるときは、この3項目を必ず評価に入れます。

目安 置きかえの割合を3段階。ほかの配合と工程は固定

2

評価: 消費者の好き度と、訓練された評価者の特徴の評価を分ける

Markey らと同じく、包みを外して番号だけを付け、試料の温度をそろえて(研究では21℃)、全体・見た目・味・食感の好き度と購入意向を付けてもらいます[1]。訓練された評価者には、甘さ・後味・ひんやり感など特徴の強さを別に付けてもらいます。平均に差がなくても、好みで分けると45%が元を好んでいたので[1]、人ごとの好みの分かれ方も見ます。

目安 消費者パネルと訓練パネルを別の回に

3

品質管理・表示: 表示が生む期待と中身をそろえる

写真だけの実験では、「砂糖不使用」の印は健康そうに見せる一方で、おいしくなさそう・甘くなさそうにも見せました[2]。表示は中身どおりにし、健康によい印象で中身以上に見せる書き方はしません。砂糖を減らす旨の表示には決まりがありますが、その条件はこの記事では確かめていません。表示の前に、表示の決まりの原典で確かめます。

目安 表示案は官能評価の結果と一緒に確認する

研究の条件は、英国の消費者116人と1組の市販ミルクチョコ、1回の試食です。自社の配合や買い手とは違うので、自社の試作で確かめ直します。その場の好き度と、続けて選ぶかはずれることがあるので、可能なら同じパネルで数日あけた再評価も組みます。甘さを狙う買い手に合わせることは、究極のチョコの条件の1つ「もう一度買いたくなる」に近づく手がかりになりえます。試食の好き度と買いたい気持ちの関係はもう一度買いたくなるチョコは何で決まる?で読めます。社内の試食記録には食べ比べノートも使えます。

04 まだわからないこと甘さ控えめのチョコは、また買われ続ける?

わかっていません。砂糖を減らしたチョコを、実際に何度も買い続けるかを追った研究は、今回の調べでは見つかりませんでした。

  • 主役の研究は英国の1組のミルクチョコで、別の会社の製品どうしの比較です。砂糖以外の違いが好き度に効いた可能性を、著者自身が書いています。
  • ダークチョコで砂糖を減らしたときの結果は、この研究ではわかりません。カカオ分と苦さはカカオ分が高いほど苦い?で整理しています。
  • 甘さ控えめのチョコを食べ続けると好みが変わるかは、チョコでは調べられていません。プリンの研究でも、甘さの感じ方は変わったものの、おいしさの評価は変わりませんでした。
  • 甘味料の種類(糖アルコール、ステビアなど)ごとに「また食べたいか」を比べた研究は見つかりませんでした。後味の残り方は後味の苦みや渋みは「また食べたい」を左右する?へ。

テンパリング温度ガイド研究一覧を見る

05よくある質問

砂糖を替えたチョコは、好き度が下がる?

項目と人によります。英国の116人の試食では、砂糖を糖アルコールに替えたミルクチョコは、味・食感・見た目の好き度が元のチョコより低かったものの、全体の好き度に、はっきりした差はありませんでした。45%の人は元のチョコをはっきり好みました。

甘さ控えめのチョコを食べ続けると、買う人は慣れる?

チョコでは調べられていません。米国の研究で、砂糖を減らした食事を3か月続けた人は、同じプリンを約40%甘く感じるようになりましたが、おいしさの評価は変わりませんでした。

「砂糖不使用」と書いてあると選ばれやすい?

写真を使ったロシアの50人の実験では、「砂糖不使用」の印は健康そうに見せて付け値を上げる一方、おいしくなさそうに見せて付け値を下げ、合わせると差はなくなりました。

出典

  1. Markey O, Lovegrove JA, Methven L (2015). Sensory profiles and consumer acceptability of a range of sugar-reduced products on the UK market. Food Research International, 72, 133–139.(本文はレディング大学の公開原稿 https://centaur.reading.ac.uk/39481/ で確認) https://doi.org/10.1016/j.foodres.2015.03.012
  2. Panidi K, Grebenschikova Y, Klucharev V, Shestakova AN (2025). Opposing effects of sugar-free claims on perceived healthiness and sweetness reduce consumers' willingness to pay for sugar-free products. Frontiers in Nutrition, 12, 1644753. https://doi.org/10.3389/fnut.2025.1644753
  3. Wise PM, Nattress L, Flammer LJ, Beauchamp GK (2016). Reduced dietary intake of simple sugars alters perceived sweet taste intensity but not perceived pleasantness. The American Journal of Clinical Nutrition, 103(1), 50–60. https://doi.org/10.3945/ajcn.115.112300