感じ方

アソートの種類は多いほうがうれしい?学生134人の実験では、6種類から選んだほうが30種類より満足が高かった

約7分で読めます / 主役の研究: Iyengar・Lepper 2000(コロンビア大学・スタンフォード大学)

研究の確かさ ★☆☆ 低論文4本を照合
箱に並んだ6種類の一粒チョコ
Photo: Indrajit Das / CC BY-SA 4.0 / Wikimedia Commons
AIによる調査公開された論文と公的機関の資料をAIが開いて読み、数字を照合して整理しました(商品の紹介はしていません。出典は末尾)。

アソートの箱を作るとき、種類を増やすほど喜ばれる気がします。米国の大学の実験では、30種類から選んだ人は選ぶのを楽しんだ一方で、6種類から選んだ人のほうが、食べたチョコに満足し、謝礼にチョコの箱を選ぶ人も4倍でした。ただ、多くの研究をまとめた分析では、種類が多いと困るという効果は平均するとほぼゼロで、どんな条件で起きるかが大事だとわかってきています。

結論

  1. コロンビア大学の学生134人の実験では、30種類から選んだ人は6種類から選んだ人より選ぶことを楽しんだが、難しさとイライラも強く感じた。食べたあとの満足は6種類の組のほうが高かった。
  2. 謝礼として現金5ドルか同じ値段のチョコ4個入りの箱を選んでもらうと、チョコの箱を選んだ人は6種類の組で48%、30種類の組で12%だった。
  3. チョコ以外も含む50の実験をまとめた分析では、種類の多さが満足や選ぶ気持ちを下げる効果は平均するとほぼゼロだった。別のまとめでは、選択肢の複雑さや好みのはっきりしなさなど4つの条件で起きやすさが変わるとされた。アソートの最適な種類の数を調べたチョコの研究は見つからなかった。

01 どんな研究かアソートの種類の数で、満足は変わる?

コロンビア大学の Iyengar とスタンフォード大学の Lepper は、学生に6種類か30種類の高級チョコの中から1つ選んで食べてもらい、選ぶときの気持ち、食べたあとの満足、謝礼にチョコを選ぶかを比べました。

Iyengar SS / コロンビア大学、Lepper MR / スタンフォード大学(2000)[1]

実験3では、机の上に市販の高級チョコを1列6種類か、6種類ずつ5列の30種類並べた。似た味が同じ列に入らないように分け、6種類の組でも30種類のどれもが出てくるように列を入れ替えた。選んだチョコを食べる組のほかに、選んだあとで別のチョコを渡される組(選べない組)も置いた。7段階で気持ちと満足を答えてもらい、最後に謝礼を現金かチョコの箱かで選んでもらった。

対象: コロンビア大学の学生134人(6種類33人、30種類34人、選べない組67人)。チョコが好きで、そのブランドをあまり食べない人だけ / 限界: 1回の実験、1つのブランドの一粒チョコ、選んだのは1粒だけ。箱入りのアソートを食べ比べた研究ではない。

選ばれたチョコは30種類でばらけ、どれも選ばれたのは12.7%以下で、4種類は一度も選ばれませんでした[1]。選ぶ前に聞いた「満足できそうか」の予想は、6種類と30種類で差がありませんでした。種類の数が満足を左右することに、選ぶ本人は気づいていなかったことになります。

02 わかった数字6種類と30種類で、何がどれだけ違った?

30種類の組は選ぶのにかかった時間が約2.7倍で、「多すぎる」と感じ、選ぶ楽しさも難しさも高くなりました。食べたあとの満足は6種類の組が高く、謝礼にチョコを選んだ人は48%と12%でした。

測ったこと6種類30種類
選ぶのにかかった時間8.91秒24.36秒
種類の数の感じ方(4がちょうどよい、7が多すぎる)3.614.88
選ぶ楽しさ(7段階)4.726.02
選ぶ難しさ(7段階)3.304.45
選ぶときのイライラ(7段階)2.243.10
食べたあとの満足(まとめた点)6.285.46
謝礼にチョコの箱を選んだ人48%12%

Iyengar・Lepper 2000 の実験3から [1]。選べない組の満足は4.92、チョコを選んだ人は10%でした。

48%と12%謝礼に現金5ドルでなくチョコ4個入りの箱を選んだ人(6種類と30種類の組)[1]
ほぼゼロ50の実験・5,036人をまとめた、種類の多さが満足などを下げる効果の平均(チョコ以外を含む)[2]
4つ種類が多いと困る効果を強める条件として、99の結果のまとめで挙げられた数 [3]

いつも起きるわけではない Scheibehenne らは、公表・未公表の50の実験(63の条件、5,036人)をまとめ、種類の多さが選ぶ気持ちや満足を下げる効果は、平均するとほぼゼロだが、研究ごとのばらつきが大きいと報告しました[2]。Chernev らは99の結果をまとめ、選択肢の複雑さ、選ぶ課題の難しさ、自分の好みのはっきりしなさ、選ぶときの目的の4つが、種類の多さで困る度合いを左右するとしました。この4つを考えに入れると、種類の多さの効果ははっきり出たとしています[3]。どちらもチョコだけの分析ではありません。

並べ方で多さの感じ方が変わる Kahn と Wansink は6つの研究で、同じ種類の数でも、並べ方によって「種類が多い」と感じる度合いが変わり、その感じ方が食べる量を左右したと報告しました[4]。数字は要旨で確かめられませんでした。

03 開発への使い方アソートの種類は、何を基準に決める?

種類の数そのものより、選ぶ人が違いを見分けられ、好みに合うものを選べるかを基準にします。研究では、種類を増やすと選ぶ楽しさは上がっても、満足と「もらうならチョコ」が下がることがありました。

1

配合・工程: 違いがはっきりした少数から組む

似た味が並ぶと選ぶのが難しくなります。ガナッシュの香り、カカオ分、中の具など、違いを1軸ずつはっきりさせた種類で組み、似たものは1つにまとめます。味の対比の考え方は塩やナッツを足すと飽きにくくなる?で読めます。

目安 案ごとに、似た味の組み合わせがないかを試食で確認

2

評価: 「選ぶ楽しさ」と「食べたあとの満足」を分けて聞く

研究では、30種類の組は選ぶのを楽しんだのに、食べたあとの満足は低くなりました[1]。種類の数だけを変えた2案で、選ぶ前の気持ちと食べたあとの満足を別々に7段階でとり、最後に「どちらの箱をもらいたいか」を選んでもらいます。

目安 1案30人以上(研究は33人と34人)

3

品質管理・表示: 選ばれない種類と、中身の説明を見直す

研究では30種類のうち4種類が一度も選ばれませんでした[1]。試食で選ばれにくい種類は、品質を下げずに入れ替える候補になります。好みがはっきりしない人ほど迷いやすいので[3]、中身の味が正しく伝わる説明を添えます。アソートの表示の決まりは、この記事では確かめていません。

目安 試食のたびに、種類ごとに選ばれた回数を記録

研究の条件は、米国の学生が1粒だけ選んだ実験で、日本の贈り物の箱とは違います。自社の箱で確かめ直します。迷わず選べて満足できる箱は、究極のチョコの条件「誰かにあげたくなる」「もう一度買いたくなる」に近づく手がかりになりえますが、箱のアソートでの研究はまだありません。続けて食べて飽きる話はもう一度食べたくなるチョコは何が違う?で整理しています。

04 まだわからないことアソートは何種類がちょうどいい?

わかっていません。箱入りのチョコで、種類の数を何段階かに変えて満足やもう一度買いたい気持ちを比べた研究は、今回の調べでは見つかりませんでした。

  • 研究が比べたのは6種類と30種類だけです。10種類や15種類のような間の数は調べられていません。
  • 研究は、1粒だけ選んで食べる場面でした。箱を受け取って全部食べる場面では、選ぶ迷いより、食べ進める楽しさのほうが大きいかもしれません。
  • 種類の多さが困る効果は、まとめた分析どうしで結論が分かれています[2][3]。
  • 贈る人と受け取る人で、うれしい種類の数が違うかは、チョコでは調べられていません(箱の色や重さで味の感じ方は変わる?)。

テンパリング温度ガイド研究一覧を見る

05よくある質問

チョコの詰め合わせは種類が多いほど喜ばれる?

そうとは限りません。米国の学生134人の実験では、30種類から選んだ人は選ぶのを楽しんだものの、食べたあとの満足は6種類から選んだ人より低く、謝礼にチョコの箱を選んだ人も48%と12%で6種類の組が多くなりました。ただ、1粒だけ選ぶ実験で、箱の詰め合わせの研究ではありません。

選択肢が多すぎると選べなくなるのは本当?

いつも起きるわけではありません。チョコ以外を含む50の実験・5,036人をまとめた分析では、種類の多さが満足などを下げる効果は平均するとほぼゼロでした。別のまとめでは、選択肢の複雑さや好みのはっきりしなさなど4つの条件で起きやすさが変わるとされています。

アソートは何種類がいい?

研究ではわかっていません。比べられたのは6種類と30種類だけで、間の数や、箱を受け取って全部食べる場面は調べられていません。違いがはっきりした種類で組み、種類の数だけを変えた案で満足を比べると確かめられます。

出典

  1. Iyengar SS, Lepper MR (2000). When choice is demotivating: Can one desire too much of a good thing? Journal of Personality and Social Psychology, 79(6), 995–1006.(数字は本文で確認) https://doi.org/10.1037/0022-3514.79.6.995
  2. Scheibehenne B, Greifeneder R, Todd PM (2010). Can There Ever Be Too Many Options? A Meta-Analytic Review of Choice Overload. Journal of Consumer Research, 37(3), 409–425.(要旨で確認) https://doi.org/10.1086/651235
  3. Chernev A, Böckenholt U, Goodman J (2015). Choice overload: A conceptual review and meta-analysis. Journal of Consumer Psychology, 25(2), 333–358.(要旨で確認) https://doi.org/10.1016/j.jcps.2014.08.002
  4. Kahn BE, Wansink B (2004). The Influence of Assortment Structure on Perceived Variety and Consumption Quantities. Journal of Consumer Research, 30(4), 519–533.(要旨で確認) https://doi.org/10.1086/380286