口どけと保存

チョコは何日で白くなる?テンパリング不足のダークチョコは18℃前後で1日目から白くなり始めた

約8分で読めます / 主役の研究: Afoakwa ら 2009

研究の確かさ ★★☆ 中論文5本と公的機関の資料1件を照合
顕微鏡で見たチョコ表面の白い結晶
Photo: Salino01 / CC BY 3.0 / Wikimedia Commons
AIによる調査公開された論文と公的機関の資料をAIが開いて読み、数字を照合して整理しました(商品の紹介はしていません。出典は末尾)。

チョコの表面が白くくもる「ブルーム」は、何日たつと出てくるのでしょうか。研究を並べると、答えは作り方と置き場所で大きく変わります。テンパリングが足りないチョコは1日で始まり、4日ほどで一気に進みました。きちんと作ったチョコは、涼しい場所なら数か月もちました。

結論

  1. Afoakwa ら(2009)は、テンパリングが足りないダークチョコを18℃前後に置き、毎日測った。白い膜は24時間以内に出始め、白さとつやの変化は最初の96時間(4日)が一番速かった。
  2. テンパリングしないチョコの研究(ニュージーランド・オークランド大学、2018年)でも、25日の保存のうち、表面の変化が大きかったのは最初の6日だった。
  3. 温度の上げ下げは白くなるのを速めた。上の温度が29℃より32℃のほうが早かった。季節で変わる室温の中で、きちんと作ったチョコが何日で白くなるかを数えた研究は見つからなかった。

01 どんな研究か白くなるまでを、毎日測った研究は?

Afoakwa らは、わざとテンパリングを足りなくしたダークチョコを、18±2℃・湿度50%に置きました。固めた直後から24時間ごとに、白さ・つや・硬さ・溶け方を、変化が止まるまで測りました。

E. O. Afoakwa, A. Paterson, M. Fowler, J. Vieira(2009)[1]

白い膜は保存から24時間以内に始まった。白さと硬さは最初に急に上がり、つやはそれに合わせて96時間のうちに下がった。その後は変化がゆるやかになり、一定の値に落ち着いた。結晶は72時間以内にIV型からVI型へ変わった。

対象: 粒の大きさ(D90)を18・25・35・50µmに変えたダークチョコ。テンパリングが足りない条件だけ / 限界: きちんとテンパリングしたチョコの日数は、この研究ではわからない。今回は要旨で照合した。

この研究では、粒の大きさでも速さが変わりました[1]。粒がいちばん大きい50µmのチョコが最も早く白くなり、18µmのチョコが最も遅くなりました。著者らは、粒のすき間を通って溶けた油が表面に吸い上げられる(毛細管現象)ことで白くなり始め、表面で結晶が大きく育って全体に広がった、と考えています。96時間を過ぎると、白い結晶がチョコ全体にゆっくり広がっていきました。

オークランド大学の Zhao らは、テンパリングしないチョコのモデル(カカオマスで作った試料)を25日保存しました[2]。表面はしだいに、こげ茶の点のまわりに白い砂のような部分が広がる、ハチの巣のような見た目になりました。X線の結果から、IV型の結晶がより安定なV型に変わることが表面の変化の原因と考えられ、変化が最も大きかったのは最初の6日でした。白くなった部分が油の浮き出しか、結晶の育ち方か、という仕組みはテンパリングせずに冷やし固めてもいい?でも触れています。

02 わかった数字条件ごとに、何日で白くなった?

テンパリングが足りないと1〜6日、きちんと作ったチョコでは20℃で数か月が目安になる研究がありました。温度を上げ下げすると、どちらも速くなりました。

24時間以内テンパリングが足りないダークチョコで白い膜が出始めるまで。18±2℃(Afoakwa ら 2009)
96時間白さとつやが最も速く変わった期間。その後はゆるやか(Afoakwa ら 2009)
6日テンパリングしないチョコのモデルで、表面の変化が最も大きかった期間(Zhao ら 2018)
26週20℃保存で、中に詰め物のあるチョコに白くなりやすさの悪化がはっきり出た時期(Hřivna ら 2021)
チョコと置き場所白くなるまで・変化が出た時期研究
テンパリング不足のダーク、18±2℃24時間以内に始まり、96時間で大きく進む[1]
テンパリングなしのモデル、保存25日最初の6日で最も大きく変化[2]
モデル、20℃一定白くなりにくかった[3]
モデル、20↔29℃・20↔32℃のくり返し32℃まで上げるほうが早く白くなった[3]
詰め物入りのチョコ、6℃・12℃26週まで評価がはっきり落ちなかった[4]
詰め物入りのチョコ、20℃10週から口どけと味が落ち、26週で白くなりやすさが悪化[4]

それぞれ試料・測り方が違うので、日数をそのまま比べることはできない。

温度の上げ下げについては、Zhao と James(2019、2018年の研究と同じ研究者)が、20℃と29℃、20℃と32℃の間をくり返す条件で比べました[3]。ずっと20℃の試料は白くなりにくかったのに対し、くり返しでは溶けた油が表面へ押し出されました。32℃まで上げると溶けている油が多くなり、白くなるのも早くなりました。シンガポール国立大学の研究(2025)では、20℃と32℃の間を10回くり返すとき、冷ます速さが速いほうが白くなるのが遅れました[5]。

チェコのメンデル大学などの Hřivna ら(2021)は、ふつうの製造工程で作った、中に詰め物のあるダークとミルクのチョコを、6・12・20・30℃で最長26週置きました[4]。6℃と12℃では評価がはっきり落ちませんでした。20℃では10週を過ぎると口どけの速さと変な味の評価が落ち、26週で白くなりやすさの悪化が見られました。作ったあと24℃に24時間置いたチョコは、白くなりにくくなりました。保存温度そのものの話はチョコは冷蔵庫に入れていい?にあります。

03 開発への使い方保存試験で「白くなるまで」をどう測る?

テンパリングの出来・保存温度・温度の行き来を1つずつ振り、白さ・つや・硬さを決めた間隔で測ります。テンパリング不足は最初の数日で差が出るので、工程の確認は短い試験、賞味期間の根拠は長い試験と、分けて組みます。

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配合・工程: 白くなる速さを動かす条件を1つずつ試す

研究で速さを動かしたのは、テンパリングの出来、粒の大きさ(50µmが最も早く、18µmが最も遅く白くなった)[1]、作ったあとの置き方(24℃に24時間置くと白くなりにくくなった)[4]でした。どれも自社の配合で効くかは決まっていないので、試作で確かめる価値がある条件として、1つずつ変えて並べます。

目安 1条件2〜3段階。同じ日に作る

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評価: 短い試験・温度の行き来・長い試験を組み合わせる

短い試験は Afoakwa らのように18℃前後に置き、24時間ごとに白さ・つや・硬さを測ります[1]。差を早く出したいときは、20℃と29℃、20℃と32℃の行き来の条件を足します[3]。冷ます速さでも白くなる遅れ方が変わりました[5]。長い試験は Hřivna らのように6・12・20・30℃など温度を分けて最長26週置き、訓練した評価者が口どけや変な味も評価します[4]。

目安 短い試験は7日、長い試験は数週おきに26週

3

品質管理・表示: 白さだけで賞味期間を決めない

20℃に置いた詰め物入りのチョコでは、白くなりやすさの悪化(26週)より先に、10週から口どけと味の評価が落ちました[4]。賞味期間と保存温度の書き方は、見た目と味の両方の試験から決めます。日本の食品表示法での期限や保存方法の書き方は、この記事では原典を確かめていません。白くなったら、油か砂糖かをチョコが白くなったら食べられる?の方法で見分けて記録します。

目安 配合・包装を変えたら試験をやり直す

日数の研究は、テンパリング不足のダークチョコ[1]、テンパリングしないモデル[2][3]、詰め物入りのダークとミルク[4]で、試料も測り方も違います。自社の製品と流通の温度での日数は、自社の保存試験で数えます。保存温度はチョコは冷蔵庫に入れていい?でも扱っています。社内の試食記録には食べ比べノートも使えます。

04 まだわからないこと季節で変わる室温なら、何日もつ?

きちんとテンパリングしたチョコを、売り場や家の部屋のように季節で温度が変わる場所に置いて、白くなるまでの日数を数えた研究は見つかりませんでした。

  • Afoakwa らと Zhao らの数字は、テンパリングが足りないか、しないチョコのものです。きちんと作ったチョコには当てはまりません。
  • 温度をくり返し上げ下げした研究は、何回目、何日目で白くなったかを要旨では示していません。今回は要旨までしか照合できませんでした。
  • Hřivna らの試料は中に詰め物のあるチョコで、詰め物の油がしみ出す影響も含まれます。板チョコだけの日数とは違う可能性があります。
  • ミルクやホワイトで日数がどれだけ違うかを、同じ条件で比べた研究は見つかりませんでした。

テンパリング温度ガイド研究一覧を見る

05よくある質問

チョコは何日で白くなる?

作り方と置き場所で大きく違います。テンパリングが足りないダークチョコを18℃前後に置いた研究では、24時間以内に白くなり始め、96時間で大きく進みました。ふつうの製造工程で作った詰め物入りのチョコを20℃に置いた研究では、白くなりやすさの悪化がはっきり出たのは26週でした。

温度が上がったり下がったりすると早く白くなる?

研究ではそうでした。20℃と32℃の間をくり返すと、20℃と29℃の間をくり返すより早く白くなり、ずっと20℃の試料は白くなりにくかったと報告されています。

白くなるまでの日数を延ばすには?

研究から言えるのは、テンパリングをきちんとすること、温度の上げ下げが少ない涼しい場所に置くことです。詰め物入りのチョコの研究では、作ったあと24℃に24時間置くと白くなりにくくなりましたが、板チョコなどほかの製品で同じ効果が出るかは確かめられていません。

出典

  1. Afoakwa EO, Paterson A, Fowler M, Vieira J (2009). Fat bloom development and structure-appearance relationships during storage of under-tempered dark chocolates. Journal of Food Engineering, 91(4), 571–581. https://doi.org/10.1016/j.jfoodeng.2008.10.011
  2. Zhao H, Young AK, James BJ (2018). Effects of Fat Polymorphic Transformation and Nonfat Particle Size Distribution on the Surface Changes of Untempered Model Chocolate, Based on Solid Cocoa Mass. Journal of Food Science, 83(4), 998–1004. https://doi.org/10.1111/1750-3841.14108
  3. Zhao H, James BJ (2019). Fat bloom formation on model chocolate stored under steady and cycling temperatures. Journal of Food Engineering, 249, 9–14. https://doi.org/10.1016/j.jfoodeng.2018.12.008
  4. Hřivna L, Machálková L, Burešová I, Nedomová Š, Gregor T (2021). Texture, color, and sensory changes occurring in chocolate bars with filling during storage. Food Science & Nutrition, 9, 4863–4873. https://doi.org/10.1002/fsn3.2434
  5. Zhao Q, Ma X, Liu Y, Lim PC, Li X, Zhou W (2025). Effect of temperature cycling rate on fat bloom and microstructure of dark chocolate in tropical conditions. Food Chemistry, 485, 144556. https://doi.org/10.1016/j.foodchem.2025.144556
  6. Canadian Food Inspection Agency. White coating on chocolate (chocolate bloom). 2020-07-27 更新. https://inspection.canada.ca/en/food-safety-consumers/fact-sheets/specific-products-and-risks/commonly-occurring-issues-food/chocolate-bloom