子ども向けのチョコ製品でカフェインは何に気をつける?380研究の総説で子どもは2%、データ不足

子どもが食べるチョコ製品を作るとき、カフェインがどれくらい入っているかは、買う保護者から聞かれやすい点です。先に答えを書きます。子どもで調べた研究はとても少なく、「この量なら大丈夫」という線は研究ではわかっていません。海外の公的機関は目安を示していますが、それも子どもの研究が少ない中で作られたものです。この記事は、公的機関の資料と研究をもとに、何がわかっていて何がわかっていないかを分けて整理したものです。子どもの体調で気になることがあれば、かかりつけの医師に相談してください。
結論
- 欧州食品安全機関(EFSA)やカナダ保健省は子どものカフェインの目安を示しているが、子どもの研究が少ない中での目安で、守れば安全と確かめられた線ではない。日本では、カフェインの1日の摂取許容量は決められていない。
- ヨーロッパの多くの国の調査で、3〜10歳の子どものカフェインの主な取り口はチョコ(ココア飲料を含む)だった。カフェインの量は、ミルクよりダーク、ダークよりココアパウダーが多い。
- 2001〜2015年の380の研究をまとめた総説では、3〜11歳の子どもを調べた研究は全体の2%だった。子どもの眠りや心臓への影響は、目安を確かめるにはデータが足りないとされた。
01 どんな研究か子どものカフェインの目安は、どこまで確かめられた?
米国の毒性評価の会社のWikoffらは、2001〜2015年に出た380の研究をまとめ、カナダ保健省の目安が今も合っているかを調べました。子どもを対象にした研究は2%しかなく、眠りや心臓については結論を出すにはデータが足りませんでした。
Wikoff D ら / ToxStrategies ほか(2017。要点は同じ著者グループによる2018年のまとめで確認)[1][8]
5,000本を超える論文から条件に合う380本を選び、健康な大人・妊娠中の人・青少年(12〜19歳)・子ども(3〜11歳)に分けて調べた。研究の79%は大人が対象で、青少年は4%、子どもは2%だった。子どもと青少年の眠り・頭痛・心臓については、目安が合っているかを判断できるだけのデータがなかった。
対象: 2001〜2015年の査読論文380本 / 限界: 費用は食品業界の団体(国際生命科学研究機構の北米支部)が出し、清涼飲料とコーヒーの業界団体からも資金を受けている(著者は判断に影響はなかったと書いている)。子どもの研究はわずか。
子どもの心拍と血圧を測った試験もあります。ニューヨーク州立大学バッファロー校のTempleらは、8〜9歳と15〜17歳の101人で、カフェインと偽の飲み物を比べました[2]。この試験の主な問いは、男女で反応が違うかで、男女の差は思春期のあとの年代で見られました。反応の大きさと、それが体に悪いかどうかは、この記事では確かめられていません。
02 わかった数字子どもで調べた研究は、どれくらいある?
2001〜2015年のカフェインの研究380本のうち、3〜11歳の子どもを調べたものは2%でした。公的機関の目安は、この少ないデータの中で示されています。
公的機関の目安は、次のように示されています。欧州食品安全機関(EFSA)は2015年の意見で、子どもと青少年に体重1kgあたり1日3mgという目安を示し、大人で心配がないとされた量を子どもにも当てはめられるとしました[3]。カナダ保健省の現在のページは、子どもと青少年をまとめて体重1kgあたり1日2.5mgとしています[4]。日本の厚生労働省は、カナダ保健省が2010年に示した年齢別の値を紹介しています[5]。食品安全委員会のファクトシートも各国の値を一覧にしています[6]。
眠りについて、欧州食品安全機関は、寝る時刻に近いカフェインが一部の大人の眠りに影響しうるとしています[3]。子どもについて同じことを述べた記述は、今回確かめた資料では見つかりませんでした。それでも、寝る前を避けるのは、子どもにとっても損のない工夫です。
この記事では、目安に体重を掛けて「何gまでなら大丈夫」と計算することはしません。理由は3つあります。1つめは、目安そのものが子どもの少ない研究から作られていること。2つめは、同じ日に飲むお茶やコーラのカフェインも合計に入ること。3つめは、チョコに多いテオブロミンは、この目安に入っていないことです。子どものテオブロミンの目安を示した公的機関の資料は、今回は見つかりませんでした。チョコの種類ごとのカフェインとテオブロミンの量はチョコを食べると目がさえる?で読めます。
03 開発への使い方子どもが食べる製品で、カフェインをどう扱う?
「この量なら子どもに安全」という線は研究にないので、製品のカフェインとテオブロミンの量を測って把握し、量と種類を表示や注意書きで伝えることを中心にします。「子どもにも安心」とは書きません。
配合: カカオ分とココアパウダーで量が変わる
カフェインもテオブロミンも、ミルクよりダーク、ダークよりココアパウダーが多く入っています[7]。ヨーロッパの多くの国で、3〜10歳の子どものカフェインの主な取り口はチョコでした。子ども向けの製品でカカオ分を上げる・ココアパウダーを増やす配合は、1食分の量が増えることを把握しておきます。
目安 配合を変えるたびに見直す
測定: カフェインとテオブロミンを分けて、1食分あたりで持つ
成分表の値は製品ごとに違うので、自社の製品で測った値を持ちます。公的機関の目安(体重1kgあたり1日3mgや2.5mg[3][4])はカフェインの値で、チョコに多いテオブロミンは入っていません。子どものテオブロミンの目安を示した公的機関の資料は、今回は見つかりませんでした。
目安 原料の豆や配合が変わるごと
表示・注意書き: 量を伝え、安全の線を引いたように書かない
日本では、カフェインの1日の摂取許容量は決められていません[5]。1食分のカフェインの量を示すか、寝る前を避けるよう伝えるかは、表示の担当者と決めます。表示のきまりは、この記事では原典を確かめておらず、法的な助言でもありません。犬や猫には量にかかわらず与えない旨の注意も、あわせて考えます(犬がチョコを食べたらどうなる?)。
目安 包装を作り直すときに確認
言えないこと: 「この量なら子どもに安全」という線。子どもの眠りや心臓への影響(データが足りない)。チョコに多いテオブロミンの子どもへの影響(目安が見つからなかった)。
研究の条件は、2001〜2015年の論文380本の総説(食品業界の団体などの資金)で、そのうち子どもの研究は2%でした。自社製品の量は測定で確かめます。カフェインとテオブロミンの働きの違いはチョコを食べると目がさえる?で、カカオ分と味の関係はカカオ分が高いほど苦い?で読めます。
04 まだわからないこと子どもとチョコで、答えが出ていないことは?
子どものカフェインの研究はとても少なく、眠り・頭痛・心臓については目安を確かめるデータが足りません。日本の子どもで調べた資料も、今回は見つかりませんでした。
- 子どもの眠り・頭痛・心臓について、公的機関の目安が合っているかは、データが足りず判断できないとされています。
- チョコに多いテオブロミンについて、子どもの目安を示した公的機関の資料は見つかりませんでした。
- 日本の子どもがどれだけカフェインを取っているか、何から取っているかの調査は、今回は確かめられませんでした。
- 何歳からチョコをあげてよいかを示した公的機関の資料は、今回の調べでは見つかりませんでした。
- 子どもの心拍や血圧がカフェインでどれだけ変わり、それが体に悪いかどうかは、この記事では確かめられていません。
05よくある質問
子どもにチョコをあげてもカフェインは大丈夫?
子どもで調べた研究はとても少なく、「この量なら安全」という線は研究ではわかっていません。海外の公的機関は子どものカフェインの目安を示していますが、子どもの研究が少ない中での目安です。寝る前を避ける、ほかの飲み物と合わせて見る、カカオ分の高いものはカフェインが多いと知っておく、の3つが手がかりです。気になることがあれば、かかりつけの医師に相談してください。
子どものカフェインについて、公的機関は何と言っている?
欧州食品安全機関は子どもと青少年に体重1kgあたり1日3mg、カナダ保健省は2.5mgという目安を示しています。日本では、カフェインの1日の摂取許容量は決められていません。どの機関の目安も、子どもで調べた研究が少ない中で作られたもので、この量までなら安全と確かめられた線ではありません。
ホワイトチョコならカフェインは入っていない?
米国農務省の成分表では、ホワイトチョコのカフェインとテオブロミンは0(含まれない)とされています。ホワイトチョコは、カカオの固形分(ココアの部分)を使わないチョコです。製品によって違うことがあります。
ココアを使った子ども向けのお菓子は、カフェインが多い?
ココアパウダーはチョコの中でもカフェインが多い部分です。粉をたくさん使った飲み物やお菓子はカフェインも多くなります。製品では、ココアパウダーの量を変えたら1食分のカフェインも測り直します。チョコの種類ごとの量はチョコを食べると目がさえる?にまとめています。
出典
- Wikoff D, Welsh BT, Henderson R, et al. 2017. Systematic review of the potential adverse effects of caffeine consumption in healthy adults, pregnant women, adolescents, and children. Food and Chemical Toxicology, 109(Pt 1), 585–648.
- Temple JL, Ziegler AM, Graczyk A, Bendlin A, Sion T, Vattana K 2014. Cardiovascular responses to caffeine by gender and pubertal stage. Pediatrics, 134(1), e112–e119.
- European Food Safety Authority (EFSA). Caffeine(2015年の科学的意見の解説ページ).
- Health Canada. Caffeine in foods(2025年4月2日更新).
- 厚生労働省. 食品に含まれるカフェインの過剰摂取についてQ&A ~カフェインの過剰摂取に注意しましょう~.
- 食品安全委員会. ファクトシート「食品中のカフェイン」(2011年作成、2018年2月23日最終更新).
- U.S. Department of Agriculture. FoodData Central (SR Legacy): Candies, white chocolate (167571)、Cocoa, dry powder, unsweetened (169593).
- Doepker C, Franke K, Myers E, et al. 2018. Key findings and implications of a recent systematic review of the potential adverse effects of caffeine consumption in healthy adults, pregnant women, adolescents, and children. Nutrients, 10(10), 1536.


